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そっと、うつむいてる先輩を抱き締めた。
「すみません先輩。頼りなくなんてないです。いつも助けてもらって感謝してます。だから、だから、そんな顔しないでください。俺は……」
あなたが好きだから、笑っていてほしい。その笑顔を見るだけで俺まで幸せな気持ちになれるから――――
そう、言えたらどれだけ楽だろうか。少しはこの苦しさからは解放されるのだろうか。
でも、言ってしまったら最後。もう元の関係には戻れない。
「いや、なんでもないっす。あ、じゃあ俺このあと用事あるんで失礼します。」
だからこうやって逃げるしかない。
自分のものにしたいなんて、なんて俺は傲慢なのだろうか。向き合う勇気すら持っていなくて。この関係が壊れることを恐れていて。自分で自分が嫌になる。
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