憧れの職場恋愛

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  「高野警視正は今日、どこまで同行してくれるんですか?」 いつも職場では呼ばれ慣れているはずが、この男に名字に階級で呼ばれると変な感じである。 「記者会見からパレードまで同行します。パレードが終わったら事後処理があるので私は警視庁へ戻ります」 その後のことはこちらの警部の指示に従って下さい。次のお仕事先までお送りしますので。 そう言って警視庁から一緒に来た職員を紹介すれば、雇われ署長は予想通りの不服顔。 「ええー、最後までついてきてくれないんだ?」 「事後処理がありますから」 「つれないなぁ」 お互いパレード後も仕事なのに、むしろつれてどうする。 いつものように飄々とした態度にふぅ、とため息をつけば、彼はよく見る口の片端だけを上げたニヤニヤ顔で何かを企んでいる様子。 嫌な予感しかしない。 でも、記者会見場所に移動するまであと10分だ。 流石に何か問題を起こしはしないだろう。 「ちょっとトイレでも行ってこようかな、場所どこですか?」 署長室の椅子は結構な高級品らしい。 雇われ署長は背が高くガタイも割りとしっかりしている方だが、勢い良く立ち上がった彼に椅子は音を立てることなくスーッとカーペットの上を滑っていった。 「この階の洗面所なら給湯室の隣だよ、」 む。…嫌な予感。 「じゃあ、高野警視正、場所教えてくださーい」 山野辺さんの声の後、やはりと言うべきか。 間延びした雇われ署長の言葉に予感は的中。 よく周りを見ているこの男は、きっと給湯室の隣にトイレがあることを分かっていて言ってきたに違いない。 「…はい。時間がありませんから素早くお願いします、一日署長」 「はぁーい」 ***
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