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きっとあんなふざけた告白でも、かなり緊張してたのだろう。あんな余裕ぶっこいた告白もどきが人生初の大告白と言っていたのはあながち嘘ではなかったのかもしれない。
「安心していいぞ。俺はお前が好きだ。お前は俺が好きだ。伝わった、伝えられた、付き合えるんだ…」
膝をついて優しく、思いっきり抱きしめる。葛の小刻みな震えと熱が伝わってくる。
「これからも一緒にいてくれるのか…?」
不安と喜びが混じった小さな涙声。こんな声の葛を俺は知らない。
「あぁ、一緒にいてくれ」
葛の細い手が震えながらおどおどと俺の背中に回された。
弱々しいが、俺は背中に回された手が強く感じた。
「…こんなの、らしくねぇな」
「うん、らしくない。だからいつもみたいにふざけて、その場のテンションで付き合うみたいにしたかったのに、台無しじゃねぇかよ、馬鹿」
「生憎俺はしっかりと告白して、しっかりとした交際をするのがいいんでね」
「交際はしっかりするよ。でも、俺今まで通りのがいい。そっちのが、楽しいと思う」
「だな。まぁたまには恋人らしいこともしたいけどなぁ」
恋人という単語に葛の身体が少しピクリとしたのがわかった。
あぁ、可愛い。ずっと抱きしめていたい。
きっとコレは俺にとっても人生初の大告白だったのかもしれない。
俺は、これから始まるコイツとの賑やかそうな恋人関係に少し期待をしていた。
end & next → character
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