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「あの人?」
パーティ会場の奥でフルートグラスを手に談笑している彼女を見つけ、僕は小声で隣の父さんに念を押した。
確かに新聞に載った白黒の写真で見たよりも、実物は栗色の勝ったブロンドに明るい青の瞳を持ち、すらりとした長身にトパーズ色のドレスを纏った、かなり目を引く美人ではある。
「そうだよ」
父さんは頷きながらも、肘で僕の二の腕を軽く小突く。
「お前、くれぐれも失礼を働くんじゃないぞ」
「分かってるよ」
僕は行く手に目を注いだまま、心の中で付け加える。
それは、彼女が本物の皇女エカチェリーナだと見極めてからの話だ。
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