第34話ーインフレーションー

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「コロシテヤル…」 狂う獣は、涎を垂らして血走った紅い双眸で場にいる他のサリエル、上杉、神威、少年、弥勒の5人を捉える。 「コロ、コロコロろ、ロロロッシテャゥ!!」 「っ!!」 初めに牙を向けたのは、言うまでもなくサリエル。 ズム。 「っか…!?」 「シネシネシネシネシネシネ。」 サリエルの嗚咽は激しく催された。 ドコォンッ! 壁に突っ込んだサリエルを見て、神威は引き攣った笑いを浮かべた。 「おいおい、バカ強ぇじゃねぇかよ、本当に大輔か?」 ヒュ、 「!」 千里眼を持つゆえに、見えた。 「ゼンブ、コオス!オマエノゼンブヲクイツブシテヤル!!」 「はは、怖ぇ怖ぇ…!」 ゴス。 今度は神威も吹き飛んだ。 「落ち着け皆川!お前だけが暴れてどうこうなる話じゃねぇ!ここはあのガキを…」 「う、ウウウ、ウエスギサンモ、アイツノ、ナカマナン、デスカ?」 「っ!!」 大輔の眼差しは、もう何も映さず、何も信じていなかった。 「ジァ、アナアモ、オレ、ノ、テ、ェキガ……!!」 もう、言語すら上手く発せない程に怒り狂っていた。 「ッヂ、ァァァァ、ギャァカァッ!」 「っ…!!」 振るわれた拳は、異常な濃度の魔力。 「防げ、カオス!!」 バキバキ!! 顕現された鋼鉄の壁。 「グルゥアッ!!!!!」 ドギャアッ! 獣の雄叫び、それと酷似した怒声と同時に拳を捩じ込んだ。
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