第31話ー悲しい音ー

16/19
前へ
/579ページ
次へ
チラリと、見渡す戦場。 弥勒の言っていた闘技場は、すぐ近くだった。 恐らく20分位か、ただ雨に茫然と打たれ、ヌラリと身体が動いた。 「行くか、」 小さく息だけを吐き、歩き出した。 無表情、今までと変わらず努めて平静に冷静に警戒しながら道を進む。 「………。」 歩いて、 「………………。」 歩いて、歩いて、歩いて、歩く。 「………………………………………………。」 歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、歩く、 本当に何の感情も表さずに、ひたすらに歩く。 夜の散歩の様に、彼は‘‘ただ歩いた”。 無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、無、 その瞳は、他と同じく何にも染まらず【無】だった。
/579ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2625人が本棚に入れています
本棚に追加