第31話ー悲しい音ー

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ザザァ… 今更か、雨が強くなっていた事に気付いた。 『龍成ぇ!』 「!」 声がした、聞き覚えのある。 「…?」 何も言わず、振り返る。 「ぁ、」 馴染み深いエレン、カイ、ノア、クーナ。 そして他に光輝、レオン、ロード、若槻、剣八、名次、沙耶がいた。 「…つ、き…?」 初めに気付いたのは、嗅覚の鋭いカイだった。 「竜輝!?」 クーナも、 「……そう、やっぱりダメだったのね。」 エレンも、 「竜輝、」 ノアも、それぞれ同級だった彼を目にした。 血だらけで、朝原 竜輝は雨空の下にその命を終わらせた。 「…大丈夫?上杉くん。」 「上杉さん、」 クーナの怪訝に伺う言葉に、上杉は振り返って軽く答えた。 「ん。」 上杉が戦闘後、初めに発した返事はこれだけだった。 悟るが、その場で1人黙っていない人間がいた。 「兄貴、死んだんスか?」 実弟たる光輝だ。 「上杉さん!どうなんすか!?」 「朝原くん、」 「何だよ、若槻。これは聞いちゃダメなのかよー…」 「朝原。」 彼自身、兄が死んだという事実を受け止められなかったのだと思う。それを若槻とレオンが諌めた。 「…………………。」 無表情で立ち尽くす上杉のその様に、寒気がした。 「…………っ!!」 あまりしっかりと見ていなかった上杉の顔を見た時、光輝は声を上げそうになった。
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