第31話ー悲しい音ー

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溢れ出る全ての感情を全力で押し殺し、必死に無表情を貼り付けていた。 「伝えられなかった…」 初めてだった、ただの無表情を見て命の危険を感じたのは。 雨のお陰で、気付かれなかった。 「俺達とまた、バカやろうって、」 涙は、一粒だけ、たった一粒だけ溢した。 「言えなかったわ。」 ピチャ。 強い雨の中なのに、雫が落ちた音が鮮明に聞こえた。 その音は、酷く悲しく聞こえた。 「最高の仲間だったよ、あいつ《竜輝》は。」
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