第32話ーLion Heartー

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『忙しない子供だ。』 槍が飛んできたのは、その呟きのすぐ後だった。 「「!」」 ガィンッ! 更なる来訪者。 「弥勒さん、」 「お前は…」 2人の視線を受けるのは世界最悪の裏切り者であり、今回の最上主犯格たる駿河 弥勒の登場だった。 「最後の(トリガー)は、君が持っているみたいだね。」 「会いたかったぜ、駿河 弥勒。」 少年と弥勒は互いに笑顔を見せ合った。 『朝原 竜輝は死んだぜ、総長さん。』 「…………。」 激情の物語は加速し止まらず、火花を散らして進み続け、終末へと向かう。 第4の来訪者は、間の抜けた声だった。 「何だ何だ、役者が揃ってんじゃねぇ。ヨダレが出るねぇ。」 傷だらけながら、殺気を迸らせる上杉 龍成がそこにいた。 「…仲間は一緒じゃないのか?上杉くん。」 「他の輩は一般人、そしてとあるバカな学生の救助に向かってるよ。」 「‘‘この場にいない2人”の事かな?」 クスリと小さく笑う弥勒の仕草の一つ一つに、品が見られた事が上杉にはとても不快だった。 「竜輝の事を、お前は何だと思ってやがる…!?」 「大事な家族だと思ってるさ、俺は。だからあいつの分も俺は目的を為さなければならない。」 「テメェらの目的は何だ!?」 上杉の叫びに弥勒はユラリと視線を合わせた。 「神の禁忌(チカラ)を手にし、そして世界を変える。」 「…何ぃ?」 「意味が分からんだろう、いずれ分かる日が来るさ。」 弥勒の言葉の一つ一つがいちいち胸を熱く刺激した。
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