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『忙しない子供だ。』
槍が飛んできたのは、その呟きのすぐ後だった。
「「!」」
ガィンッ!
更なる来訪者。
「弥勒さん、」
「お前は…」
2人の視線を受けるのは世界最悪の裏切り者であり、今回の最上主犯格たる駿河 弥勒の登場だった。
「最後の鍵は、君が持っているみたいだね。」
「会いたかったぜ、駿河 弥勒。」
少年と弥勒は互いに笑顔を見せ合った。
『朝原 竜輝は死んだぜ、総長さん。』
「…………。」
激情の物語は加速し止まらず、火花を散らして進み続け、終末へと向かう。
第4の来訪者は、間の抜けた声だった。
「何だ何だ、役者が揃ってんじゃねぇ。ヨダレが出るねぇ。」
傷だらけながら、殺気を迸らせる上杉 龍成がそこにいた。
「…仲間は一緒じゃないのか?上杉くん。」
「他の輩は一般人、そしてとあるバカな学生の救助に向かってるよ。」
「‘‘この場にいない2人”の事かな?」
クスリと小さく笑う弥勒の仕草の一つ一つに、品が見られた事が上杉にはとても不快だった。
「竜輝の事を、お前は何だと思ってやがる…!?」
「大事な家族だと思ってるさ、俺は。だからあいつの分も俺は目的を為さなければならない。」
「テメェらの目的は何だ!?」
上杉の叫びに弥勒はユラリと視線を合わせた。
「神の禁忌を手にし、そして世界を変える。」
「…何ぃ?」
「意味が分からんだろう、いずれ分かる日が来るさ。」
弥勒の言葉の一つ一つがいちいち胸を熱く刺激した。
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