第32話ーLion Heartー

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上杉、弥勒、神威、そして少年。殺風景に荒れた闘技場は不気味な静けさだった。 上杉の目が、白ブレザーの少年に向かう。 「…てめぇ、昼間のヤツだな?一体誰だ、このメンツが揃ってんだお前も‘‘ヤる”んだろうな?」 「あぁ、そう言えば‘‘会った事は”なかったな、かの有名な【龍神】・上杉 龍成。」 少年の一つ一つの動作に重厚な殺意が見て取れ、警戒心が煽られる。 「何者だ、闇ギルドか?」 (こいつ、若いな…皆川達と同世代じゃねぇか?) 上杉の問いに薄ら笑いで返した。 「近親がアンタの知り合いだぜ?」 「…エレンか。」 一つの説が繋がった。少年を見て気を失う程のショックを受けて倒れたエレン、あの時は幻術かと思っていたが違ったらしい。 「じゃあお前、‘‘あいつ”か。」 「あぁ、‘‘あいつ”だよ。」 三つ巴ならぬ、四つ巴。 静かなる殺意は、4人を高ぶらせた。 「この中で正義を掲げる者は、君だけだな?上杉くん。」 「黙れ弥勒。」 割って入ったのは、弥勒である。上杉は不愉快そうに切り捨てた。 「黙るのはテメェだぜ、上杉 龍成。」 「……何?」 神威が、刺々しく言葉を返した。 「今回の戦いは聖戦だ、お前ら政府の生温ぃ平和理論、そしてドス黒い自己顕示欲の思想をブチ壊してやる。」 「…宣戦布告のつもりか、神威。」 裏切り者がいる可能性がある、それは京香から聞いていた。 それが神威だった事には、あまり驚かなかった。学業を見ても、それは頷けた。 …何より、竜輝との戦いで心身共に麻痺していたのかもしれない。
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