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上杉、弥勒、神威、そして少年。殺風景に荒れた闘技場は不気味な静けさだった。
上杉の目が、白ブレザーの少年に向かう。
「…てめぇ、昼間のヤツだな?一体誰だ、このメンツが揃ってんだお前も‘‘ヤる”んだろうな?」
「あぁ、そう言えば‘‘会った事は”なかったな、かの有名な【龍神】・上杉 龍成。」
少年の一つ一つの動作に重厚な殺意が見て取れ、警戒心が煽られる。
「何者だ、闇ギルドか?」
(こいつ、若いな…皆川達と同世代じゃねぇか?)
上杉の問いに薄ら笑いで返した。
「近親がアンタの知り合いだぜ?」
「…エレンか。」
一つの説が繋がった。少年を見て気を失う程のショックを受けて倒れたエレン、あの時は幻術かと思っていたが違ったらしい。
「じゃあお前、‘‘あいつ”か。」
「あぁ、‘‘あいつ”だよ。」
三つ巴ならぬ、四つ巴。
静かなる殺意は、4人を高ぶらせた。
「この中で正義を掲げる者は、君だけだな?上杉くん。」
「黙れ弥勒。」
割って入ったのは、弥勒である。上杉は不愉快そうに切り捨てた。
「黙るのはテメェだぜ、上杉 龍成。」
「……何?」
神威が、刺々しく言葉を返した。
「今回の戦いは聖戦だ、お前ら政府の生温ぃ平和理論、そしてドス黒い自己顕示欲の思想をブチ壊してやる。」
「…宣戦布告のつもりか、神威。」
裏切り者がいる可能性がある、それは京香から聞いていた。
それが神威だった事には、あまり驚かなかった。学業を見ても、それは頷けた。
…何より、竜輝との戦いで心身共に麻痺していたのかもしれない。
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