第32話ーLion Heartー

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少し落ち着いたと思ったが、思い出してまた激情が湧き上がってくる。 「ぁぁぁぁぁ~~…!!」 唸るようにして上げた金切り声は、精神異常者のソレだった。 「リサを、怜香を、返せ…ぇっ!!」 大切な人を2人も殺された、その事が大輔をまるで不死者のように突き動かしていた。 「アンタ、この後死ぬかもね。もし私に勝てたとしても、‘‘その術”を‘‘その魔力濃度”で続けて行使したら、身体が必ず壊れるわよ。」 「…そんな事知るか、お前をぶっ倒す事が先決だ。そんで2人の墓前にテメェの首並べてやる。」 目が、据わっていた。 『【砂塵大竜巻き】!!』 サリエルに向かって駆けようとして、仁風が足を止めた。 「な、何で、止めるんですか…!?」 首を捻った大輔の視線の先には、風を放ったクーナがいた。 『ナイス、クーナ…』 色黒の獣が、大輔に向かって高速で向かった。 「っ…!?」 「獣拳…【夜爪】《よつめ》!」 カイだ。身体強化の施された爪は、大輔の脚を狙った。 ぐ、 やや右後方斜め、そこにカイを視認した大輔は、目を獣の様に光らせた。 「…そうかよ、」 「!!」 右脚一本での垂直跳躍、それに加えて身体を柔軟に捻ってカイの爪による刺突を避けた。 「っ…!?このガキぃ!」 (死角から全力の獣拳、避けられるヤツはWMOでもそういねぇぞ!?) ヒョォ。 驚愕するも、影が頭部に伸びた。 カイの側頭部に、文字通りカウンターで左回し蹴りを頭上から叩き込んだ。 ゴキャアッ!!
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