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少し落ち着いたと思ったが、思い出してまた激情が湧き上がってくる。
「ぁぁぁぁぁ~~…!!」
唸るようにして上げた金切り声は、精神異常者のソレだった。
「リサを、怜香を、返せ…ぇっ!!」
大切な人を2人も殺された、その事が大輔をまるで不死者のように突き動かしていた。
「アンタ、この後死ぬかもね。もし私に勝てたとしても、‘‘その術”を‘‘その魔力濃度”で続けて行使したら、身体が必ず壊れるわよ。」
「…そんな事知るか、お前をぶっ倒す事が先決だ。そんで2人の墓前にテメェの首並べてやる。」
目が、据わっていた。
『【砂塵大竜巻き】!!』
サリエルに向かって駆けようとして、仁風が足を止めた。
「な、何で、止めるんですか…!?」
首を捻った大輔の視線の先には、風を放ったクーナがいた。
『ナイス、クーナ…』
色黒の獣が、大輔に向かって高速で向かった。
「っ…!?」
「獣拳…【夜爪】《よつめ》!」
カイだ。身体強化の施された爪は、大輔の脚を狙った。
ぐ、
やや右後方斜め、そこにカイを視認した大輔は、目を獣の様に光らせた。
「…そうかよ、」
「!!」
右脚一本での垂直跳躍、それに加えて身体を柔軟に捻ってカイの爪による刺突を避けた。
「っ…!?このガキぃ!」
(死角から全力の獣拳、避けられるヤツはWMOでもそういねぇぞ!?)
ヒョォ。
驚愕するも、影が頭部に伸びた。
カイの側頭部に、文字通りカウンターで左回し蹴りを頭上から叩き込んだ。
ゴキャアッ!!
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