第32話ーLion Heartー

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「…っ。」 『朝原、兄貴の‘‘形見”だ。』 さっき、上杉から渡された。 ギュチ。 傷跡癒えぬ、血がしたたる左腕。光輝の手には真白の細い両刃剣・モーンブレイドが握られていた。 『今は、詳しい事は話してやれない。』 「ったく、大人はズルィよなぁ…」 何故か、兄の死を知ってからずっと、涙が止まらないんだ。 『全部終わったら、教えてやる。お前の兄貴の‘‘本当の真実”。』 「答え持ってて、知らん振りしてたんだから、堪んねぇよ…!!」 大輔が、目の前で魔力体を撃ち放っていた。 ズバァッ!! 『っ!!』 黒剣・モーンブレイドが、それを斬り裂いた。 「なっ…!」 (あの濃度の魔力体だぞ!!あの光輝くんはアレでさえ吸収できる許容範囲内なのか!?) ノアは親友の弟に眠りし才能に寒気がした。 「大輔悪ぃ、全力で止めに行くぜ。仲間(ダチ)だからよ…!」 少年・朝原 光輝も親友・皆川 大輔と同じく、覚醒の時を迎えていた。 ど、く… 「っく…」 「光輝くん!」 気合いを入れ過ぎたらしい、傷口が開いた。そんな事は気にする余地はないのだが。 「心配ねっスよ、クーナ先生ぇ。」 ニタリと笑い、応じた光輝はどこか危な気で君の悪い殺気を感じさせた。 「兄貴の形見持って、負けるワケにはいかねぇんだよっ……!!」 ギュギュゥッ。 モーンブレイドに、魔力が凝縮された。能力の扱い方は既に熟知しているらしい。 「っら…!」 「!!」 ノーガードの大輔の土手っ腹に、渾身の横薙ぎの斬撃を叩き込んだ。 グザンッ!!
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