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「…っ。」
『朝原、兄貴の‘‘形見”だ。』
さっき、上杉から渡された。
ギュチ。
傷跡癒えぬ、血がしたたる左腕。光輝の手には真白の細い両刃剣・モーンブレイドが握られていた。
『今は、詳しい事は話してやれない。』
「ったく、大人はズルィよなぁ…」
何故か、兄の死を知ってからずっと、涙が止まらないんだ。
『全部終わったら、教えてやる。お前の兄貴の‘‘本当の真実”。』
「答え持ってて、知らん振りしてたんだから、堪んねぇよ…!!」
大輔が、目の前で魔力体を撃ち放っていた。
ズバァッ!!
『っ!!』
黒剣・モーンブレイドが、それを斬り裂いた。
「なっ…!」
(あの濃度の魔力体だぞ!!あの光輝くんはアレでさえ吸収できる許容範囲内なのか!?)
ノアは親友の弟に眠りし才能に寒気がした。
「大輔悪ぃ、全力で止めに行くぜ。仲間だからよ…!」
少年・朝原 光輝も親友・皆川 大輔と同じく、覚醒の時を迎えていた。
ど、く…
「っく…」
「光輝くん!」
気合いを入れ過ぎたらしい、傷口が開いた。そんな事は気にする余地はないのだが。
「心配ねっスよ、クーナ先生ぇ。」
ニタリと笑い、応じた光輝はどこか危な気で君の悪い殺気を感じさせた。
「兄貴の形見持って、負けるワケにはいかねぇんだよっ……!!」
ギュギュゥッ。
モーンブレイドに、魔力が凝縮された。能力の扱い方は既に熟知しているらしい。
「っら…!」
「!!」
ノーガードの大輔の土手っ腹に、渾身の横薙ぎの斬撃を叩き込んだ。
グザンッ!!
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