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キキュッ。
大輔の使い古されたスニーカーが、アスファルトに音を立てた。
「は、」
寸前でストップ、カイの拳撃は鼻頭を掠めるようにして素振りに終わった。
「な…!?」
カイとエレンの目の前に立つ、大輔の静かで冷静な瞳は狩りを行う獣のソレだった。
「し、ぁ…!」
二兎を追う者一兎も得ず、これを瞬時に弾き出し、まず確実に仕留めておいた方が後の戦闘において有利になる人物、
「っ飛べ!!」
「っ!!」
かつ、カイよりも回避能力が劣り、確実に仕留められるエレンを狙った。
ドゴォッ!!
「っぷ…!?ぅが…!!」
内臓が、潰れたのかと思った。
ドガガガァン!!
「っが、ぁ!うぁぁぁ!!」
「エレン!!」
「エレンさん!!」
あまりの鳩尾の激痛に、あのエレンが叫び声を上げた。あの様子では暫くは動けそうにない。
「まず、1人…」
手負いとはいえ、WMOの上軍の第一線で活躍する兵士を仕留めたのだ、これはもう認めざるを得ない。
ガシャ。
「S級の犯罪者と同じレベルの強さと考えようか、」
「相手は霊獣解放状態だ、妥当言やぁ妥当だろう。」
ノアの言葉にカイは爪を研いで頷いた。
「本気で殺しに行くぜ、ノア。」
「最悪の場合は、‘‘バツあり”だ。」
黄金の大剣は、夜陰に煌びやかに映えた。
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