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夜空は随分と明るみを帯びていた、月の位置する場所が水平線に近付く。
「行け。」
神威の蒼い槍が、上杉を襲った。
「……け。」
小さく罵倒し、上杉の目の前に黄金の‘‘ビリケンさん”が出現させる。槍は突き刺さるが貫くに至らない。
「…馬鹿にしてんのか、」
「足の裏触っとけよ?」
悪戯に笑う上杉は小馬鹿にして剣を振り翳す。
「!」
「…ぁ?」
だが、上杉の目が驚きに染まる。
「【ウルトラ】。」
少し紫がかった赤、その魔力砲は直感で上級だと察した。
ヴォ!!
丸腰の背中に、少年は撃ち放った。
「そう急かすなよ、ルシフェル。」
神威はクッ、と低く笑った。千里眼で全て視えていたという事か。
ォンッ…!!
過ぎ去る、魔力砲。だがそんな3人の攻防を、上空で眺める者が1人。
「【烈覇】《れっぱ》。」
静かな詠唱は、豪快な魔力の巨柱を顕現した。
「「「!!」」」
3人の顔色が、変わった。
「ちぃ…!」
「デカイな。」
「こりゃ防げねぇ。」
神威、少年、上杉の順に感情を吐き出し、一斉に散り散りに回避した。
ゴッゴォッン!!
長大な魔力の柱は、辺りの地面を押し潰した。
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