第33話ー午前4時の殺し合いー

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ゴゴ、 地面は崩れ、豪快で低い音を鳴らす。 「こりゃあ、テンション上がるな。」 「はは、上杉くん?戦いは楽しむに(あら)ず、護る為に在る、だよ?」 「黙れ外道。」 弥勒を睨むその眼は、激龍のようだった。 「っら…」 「!」 上杉の龍皇は分離し二刀流となっていた、上杉が接近戦で本気で仕留める時のフォルムだ。 ヒュオ。 「速いね。」 弥勒はスルリとそれを躱す、身のこなしが天才的だった。 「っ!」 「竜輝との戦いで消耗したかい?キレがない。」 涼し気なその笑顔は、何とも憎たらしかった。 ぞぶ。 「っか!」 脇腹が、赤槍・ロンギヌスに浅く削り取られた。 「50連、【玉嵐】《たまあらし》。」 少年の刃は分身。乱軌道を描いて密集し、切り裂く球状の物体になった。 「おいおい、俺とヤル気かよ?ルシフェル。」 「何も仲良しこよしで戦うとは言ってねぇよ。」 名前の通り、球状の刃嵐は神威を襲った。 「グングニル。」 愛槍に魔力を流し込む。 「【疾風怒濤】《シュトゥルンドランク》!!」 風を纏った槍の高速連撃に、玉は何とか掻き消えた。 ギ… そうして、神威の追撃は高速で巻き起こる。 ャウッ! 「【神速拳】《タキオティス》!!」 「【神中拳】《じんちゅうけん》。」 前者が神威、後者は名も知れぬ少年。 ドキッ。 双方の拳が虚空で弾け、辺りに荒風を放った。 ゴアッ!!
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