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「否。」
ガギャアンッ!!
だから、『彼』が自分を守る所がとてもハッキリと確認できた。
「………ぇ。」
情けない呟きだと、我ながら笑ってしまった。
上杉の前に立ち尽くす彼に、弥勒は珍しく眼光を鋭くする。
「…どういうつもりだ?神威。」
問い掛けられた神威は、紅いその瞳を主人たる弥勒に返す。
「勘違いすんな、俺はアンタの下に付いたつもりはねぇぞ。」
「…何?」
「俺の目的を果たす為に好都合だから今までは言う事聞いてただけだ、今はもう正直関係ねぇ。」
血を流す上杉をチラリと見て、神威は笑った。
「俺は今日の戦いが終われば。学園にも、道仁會にも戻らねぇよ。」
「「!?」」
上杉、弥勒て共に驚きを露わにした。
「…いつの時代にも裏切り者は付き物だな、弥勒。」
ヨロリと起き上がった上杉は、神威の肩に手を置く。
「何だ、結局お前はお前じゃねぇかよ、神威。」
「……別に、アンタが死んだら、何か寝覚め悪ぃから守ってやっただけだ、感謝しろカオス。」
数秒の間を空け、言葉を締めくくった。
「…ロードとレオンの馬鹿の所為だ、チクショウ。」
「ん、何か言ったかよ?」
「空耳だアホ。」
友の声は、確かに神威に届いていた。
「手ぇ貸せ神威、あの2人は厄介だ。」
「これが終わった後に見逃してくれるんなら。」
「あぁあぁ!見逃してやるよ!だからとっとと手ぇ貸しやがれオーディン!!」
「承知ぃ、カオス。」
クヒヒ、と笑った神威は猟奇的だった。
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