22.恋人

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ふわり舞い上がるいつもの花の香り。 思わずピタッと、首筋にも鼻先をつけてしまう。 「ううん…。さっきシャワー浴びたから。シャンプーかも」 彼女は、えへへと照れた様に笑った。 「そうなんだ…? つか幸子、いつ起きたの?」 「うん、と…。二時間ぐらい前…?」 そう言われ、壁の時計に目をやると、針は丁度10時を差していた。 じゃあ8時ぐらいかと思い、ふぅんと呟く。 「それじゃ檜。あたし包丁持ってるし危ないから…」 「ハイハイ」 離れてという空気を察し、手を緩めて距離を取る。 彼女は野菜を刻み、サラダを盛り付けていた。 「俺も風呂入ろっかな~」 首筋を掻きながら言うと、クスッと笑う声が聞こえた。 「脱衣所にバスタオル置いてあるからね?」 「サンキュ」 浴室へ続く扉を開けると 「…あ、それから檜?」 と声が追い掛けてきた。 「ん…?」 「寝癖ついてる」 幸子はキラキラした笑みで言った。 「うるせ」 口元を緩め舌を出すと、檜は浴室へと消えた。  * 「…ん! うまっ!! やべー俺。これいくらでもいけるわ」 目を輝かせ、幸子が用意したホットサンドをパクつく。 他にもレタスや人参、パプリカを刻んだサラダ、スクランブルエッグ、ウインナーが用意され、次々に箸が進む。
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