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ふわり舞い上がるいつもの花の香り。
思わずピタッと、首筋にも鼻先をつけてしまう。
「ううん…。さっきシャワー浴びたから。シャンプーかも」
彼女は、えへへと照れた様に笑った。
「そうなんだ…? つか幸子、いつ起きたの?」
「うん、と…。二時間ぐらい前…?」
そう言われ、壁の時計に目をやると、針は丁度10時を差していた。
じゃあ8時ぐらいかと思い、ふぅんと呟く。
「それじゃ檜。あたし包丁持ってるし危ないから…」
「ハイハイ」
離れてという空気を察し、手を緩めて距離を取る。
彼女は野菜を刻み、サラダを盛り付けていた。
「俺も風呂入ろっかな~」
首筋を掻きながら言うと、クスッと笑う声が聞こえた。
「脱衣所にバスタオル置いてあるからね?」
「サンキュ」
浴室へ続く扉を開けると
「…あ、それから檜?」
と声が追い掛けてきた。
「ん…?」
「寝癖ついてる」
幸子はキラキラした笑みで言った。
「うるせ」
口元を緩め舌を出すと、檜は浴室へと消えた。
*
「…ん! うまっ!! やべー俺。これいくらでもいけるわ」
目を輝かせ、幸子が用意したホットサンドをパクつく。
他にもレタスや人参、パプリカを刻んだサラダ、スクランブルエッグ、ウインナーが用意され、次々に箸が進む。
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