22.恋人

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思わず目を見開き、顔をしかめた。 「あの時…3日に一度ぐらいのペースでメールしてたでしょ? 実は檜からのメール、凄く嬉しかったんだぁ」 あの賭けを始めた時かという事は分かった。 丁度その頃、檜も自分の気持ちに確信を得たのだ。 しかし、ハタとある事に気が付く。 「…え。つー事は何? じゃあ旅行の時は…」 「うん。完全に好きだった」 幸子は首を傾げて微笑む。 「…でもあなたは生徒だから…付き合うとかそういうのは望めなかった。 ただ癒やし的な存在で…遠くから見てるだけでいいやって」 「癒やしって…」 思わず苦笑すると、幸子は真摯な目を向ける。 「大好きでも…。踏み込んじゃいけない恋だって有るんだよ?」 ストレートな言葉にやはり照れてしまう。 「そ。…の割には…旅行ん時。キスしたらすげー勢いで避けてたじゃん?」 「あれは…」 そこで幸子は口ごもる。 「…これ以上好きになっちゃいけないって。自分の気持ち押し殺して…ブレーキかけてたから」 そう言って箸を手にした。 「だからなんで?」 「だって檜からしたらあたしなんかうんと年上でしょ? 檜はモテるから…普通に目移りされるんじゃないかって、そう思って」 「は…?」 言いながら眉をひそめた。 彼女はサラダをひと口ふた口つまみ、コーヒーを飲む。
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