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思わず目を見開き、顔をしかめた。
「あの時…3日に一度ぐらいのペースでメールしてたでしょ? 実は檜からのメール、凄く嬉しかったんだぁ」
あの賭けを始めた時かという事は分かった。
丁度その頃、檜も自分の気持ちに確信を得たのだ。
しかし、ハタとある事に気が付く。
「…え。つー事は何? じゃあ旅行の時は…」
「うん。完全に好きだった」
幸子は首を傾げて微笑む。
「…でもあなたは生徒だから…付き合うとかそういうのは望めなかった。
ただ癒やし的な存在で…遠くから見てるだけでいいやって」
「癒やしって…」
思わず苦笑すると、幸子は真摯な目を向ける。
「大好きでも…。踏み込んじゃいけない恋だって有るんだよ?」
ストレートな言葉にやはり照れてしまう。
「そ。…の割には…旅行ん時。キスしたらすげー勢いで避けてたじゃん?」
「あれは…」
そこで幸子は口ごもる。
「…これ以上好きになっちゃいけないって。自分の気持ち押し殺して…ブレーキかけてたから」
そう言って箸を手にした。
「だからなんで?」
「だって檜からしたらあたしなんかうんと年上でしょ? 檜はモテるから…普通に目移りされるんじゃないかって、そう思って」
「は…?」
言いながら眉をひそめた。
彼女はサラダをひと口ふた口つまみ、コーヒーを飲む。
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