22.恋人

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傷付いた彼女は再び俯いてしまう。 檜は眉間を歪めた。 見苦しく言い訳をするのは憚られたが。 包み隠さず、順を追ってちゃんと話そうと思った。 高1の時から奈々との関係を始め、やがてはそれも煩わしくなった事。 あの賭けの話でその関係を終わらせた事。 美波との仲を疑った奈々に条件を出され、それを受け入れた事。 途中、奈々との関係を既に知っていた幸子に驚かされた。 「そうなんだ…?」 幸子を好きでいながら、奈々にキスした経緯を述べると、彼女は悲しそうに無理やり微笑んだ。 「…ごめん」 檜は俯き、そう短く謝った。 それに対して彼女はううんと首を振る。 「…過去の事を…。責めるつもりは無いの」 「…え」 (そうなんだ…?) パッと顔を上げ、彼女を視界に入れる。 「過ぎてしまった事は…どうにもならないもの。 ただ…あたしが言いたいのは…。不安にさせないでって事だけ」 (不安に…?) 幸子を見つめたまま若干、眉をひそめた。 「だってあたし達…。8つも年が離れてるんだよ? お互いの環境だって、全然違うし…価値観も違う」 「…うん」 「ただでさえ簡単にすれ違いそうなのに…。檜があたし以外の女の子と仲良くしてるの、見るのやだよ」
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