22.恋人

2/22
273人が本棚に入れています
本棚に追加
/402ページ
静寂の空間に、互いの吐息が混ざり合う。 時折漏れるため息ともつかない声に耳を傾け、檜はゆっくりと…それでいて丹念に、彼女への愛撫を繰り返した。 彼女の敏感な場所を探り当て、指でなぞったり舌を這わせたりすると、ビクンとその体が反応する。 床へ無造作に脱ぎ捨てられた衣類。 ガラステーブルに並んだ食べかけの食事。 幸子が作った料理を食べながら、笑い合っていたのがつい1時間前。 お手製のハンバーグに舌鼓を打ち、檜は顔を緩ませた。 会話が途切れると、どちらからともなくキスをし、抱き付く彼女を抱えてベッドに潜り込んだ。 睫を伏せ上気した顔を覗き込み、檜は彼女の膝を割った。 表情を窺いながらゆっくり腰を沈めると、幸子は若干眉をひそめた。 「ごめん…。痛い?」 動きを止めてそう訊くと、彼女は小さく頭を振った。 「だい…じょうぶ、だから…っ、お願いっ。続けて…?」 熱を帯びた眼差しと絡み合い、檜は更に深く、奥へと沈んだ。 「…っ」 ため息混じりの吐息が頬にかかる。 檜は彼女の顔を見つめながら、ゆっくり動き始めた。 動く度、ベッドがギシギシと軋んだ。
/402ページ

最初のコメントを投稿しよう!