22.恋人

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幸子を腕に抱きながら、檜は思った。 この白い肌を他にも知っている男がいるのか、と。 そう考えると胸の内に熱くたぎるものを感じ、堪らなくなる。 それが嫉妬だという事は分かっていた。 彼女へキスを落とし、肌を合わせ、それだけでその全てが自分のものになればいいのに、と。 そう思っていた。 やがて彼女はすすり泣く様な声をあげた。 その響きをすくい取る様に唇を塞ぐ。 激しく、時に緩やかに…。 彼女の中へと泳ぐと、幸子はビクン…と背を弓なりに曲げた。 今までに聞いた事も無い艶っぽい喘ぎ声に混ざり、幸子は何度も檜の名前を呼び、‘好き’という言葉を繰り返した。 「俺も…っ、好きだよ…っ、愛してる」 そして‘幸子’と耳元で囁いた。 それだけで彼女は泣き笑いの様な笑みを浮かべる。 幸子の細い腰を両手で持ち上げ、檜は力強く腰を振る。 ――程なくして。 全身がバラバラになる様な感覚を迎えた。 檜はギュッと幸子を抱きしめ、その波に酔いしれる。 呼吸が乱れ、額にはうっすらと汗が滲んでいた。  * 「はい。喉渇いたでしょ?」 「…あ。ありがと」 ベッド端に腰掛けながら幸子からコップを受け取り、目を上げる。 彼女はフード付きの部屋着を着ていた。 言わずもがな、ワンピースだ。 檜はスウェットという訳にはいかなかったので、着て来た私服に着替えた。
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