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幸子を腕に抱きながら、檜は思った。
この白い肌を他にも知っている男がいるのか、と。
そう考えると胸の内に熱くたぎるものを感じ、堪らなくなる。
それが嫉妬だという事は分かっていた。
彼女へキスを落とし、肌を合わせ、それだけでその全てが自分のものになればいいのに、と。
そう思っていた。
やがて彼女はすすり泣く様な声をあげた。
その響きをすくい取る様に唇を塞ぐ。
激しく、時に緩やかに…。
彼女の中へと泳ぐと、幸子はビクン…と背を弓なりに曲げた。
今までに聞いた事も無い艶っぽい喘ぎ声に混ざり、幸子は何度も檜の名前を呼び、‘好き’という言葉を繰り返した。
「俺も…っ、好きだよ…っ、愛してる」
そして‘幸子’と耳元で囁いた。
それだけで彼女は泣き笑いの様な笑みを浮かべる。
幸子の細い腰を両手で持ち上げ、檜は力強く腰を振る。
――程なくして。
全身がバラバラになる様な感覚を迎えた。
檜はギュッと幸子を抱きしめ、その波に酔いしれる。
呼吸が乱れ、額にはうっすらと汗が滲んでいた。
*
「はい。喉渇いたでしょ?」
「…あ。ありがと」
ベッド端に腰掛けながら幸子からコップを受け取り、目を上げる。
彼女はフード付きの部屋着を着ていた。
言わずもがな、ワンピースだ。
檜はスウェットという訳にはいかなかったので、着て来た私服に着替えた。
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