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再びざわざわと騒がしくなり、教師らは静かにする様に促している。
校長たちは、3年を受け持つ教師らとの話し合いの結果、
生徒からも多数の支持を集め、極めて影響力が大きいという理由から、たとえ数日の停学を言い渡しても、檜を退学にするのは懸命で無い、と判断した。
無論、彼を妬み、やっかむ声も上がる事だろう。
しかし、なるべくなら学校が被る被害は、最小限に抑えたい。
理事やPTAの圧力を踏まえた、妥当な処分だった。
どよめく集団の中で、檜は意を決し、前へと突き進む。
壁際に離れて立つ斉藤里沙が、あっ、と言う間もなく、彼は壇上へと上がった。
整列する全校生、壇上の下に立つ教頭、壁際の教師達、そして校長が一様に息を呑み、檜の行動に皆が唖然としていた。
幸子は目に不安の色を浮かべ、思わず口元を手で押さえた。
下で見守るカイは目を細め、檜を見据えている。
「…き、きみ、」
青い顔で横から校長が止めるのも気にせず、俺は、と口を開く。
「…高校二年の時、担任をしてくれた桜庭先生に特別な感情を持ち、その想いを…彼女にぶつけました」
檜の告白に一瞬にして、館内がざわついた。
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