43.終息

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館内は静まり返っていた。 生徒らは皆、一様に檜を見つめ、言葉を無くしている。 中には呆れ返り、最早何も言えない、という生徒もいた。 しかし。 その中からスッとひとつの手が挙がり、 「俺は檜の意見に賛成だ」 と声がした。 檜は声の上がった3年1組を見つめ、ポツリと呟いた。 「…内田」 「教師も人間、男と女なら、互いに意識してそれが恋愛感情に変わっても何ら不思議は無い」 「はい! 俺も! 檜とウッチーの意見に賛成~!」 内田の意見に導かれ、俺も私も、と3年生を中心に次々と手が挙がる。 無茶苦茶だなぁ、と頬を緩め、カイも迷わず挙手をする。 そうだそうだ、と賛同する声の上がる中、奈々も躊躇いがちに手を挙げた。 檜はその状況を見て、僅かに胸を撫で下ろす。 そして隣りに顔を向け、落ち着いた口調で言った。 「さっき校長先生が言ってた処分だけど。 桜庭先生が今回、退職すると言うなら、俺も一緒に学校を辞めます。 先生だけが一方的に罪を被るなんて、そんなのおかしい」 その意見に、斉藤里沙はあからさまに顔をしかめた。 失言だ、と言わんばかりに頭を抱えている。 校長は困惑して髪を撫でつけた。
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