277人が本棚に入れています
本棚に追加
檜はフッと頬を緩めた。
「なんだ、そんな事…? いいじゃん、退学。上等じゃん?」
「よくないよ…っ」
そこで彼女は、がばっと顔を上げる。
檜はゆったりと微笑み、幸子の髪に指を絡めた。
「幸子はさ…。全然分かってない」
「え…?」
「そんな学歴とか、どうでもいいって思うぐらい
…俺は惚れてんのに」
「…檜」
「ヤバい…、歯が浮いた」
照れ隠しに口元に手を当てると、彼女は眉を下げ、ありがとうと微笑んだ。
「…つかさ、あの返事の時に気持ちが決まってたんならイエス出せよな」
「だってあの時は。もう諦めなきゃって…、思ってたから」
「…。そっか」
言いながら息をつくと、幸子はフッと口元を緩めた。
そこでふと、何か忘れている様なと考えが及ぶ。
檜はおもむろに立ち上がり、ソファーへと歩くと、その脇に置いた鞄を手に取った。
逐一彼の行動を目で追い、幸子は首を傾げる。
「はい。コレ」
持って来た鞄の中から赤い小さな紙袋を取り出すと、それを彼女の前にポンと置いた。
「何これ…?」
ベッドに正座したまま案の定、幸子は目を丸くする。
「クリスマスプレゼント」
言いながら隣りへ腰を下ろす。
最初のコメントを投稿しよう!