22.恋人

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檜はフッと頬を緩めた。 「なんだ、そんな事…? いいじゃん、退学。上等じゃん?」 「よくないよ…っ」 そこで彼女は、がばっと顔を上げる。 檜はゆったりと微笑み、幸子の髪に指を絡めた。 「幸子はさ…。全然分かってない」 「え…?」 「そんな学歴とか、どうでもいいって思うぐらい …俺は惚れてんのに」 「…檜」 「ヤバい…、歯が浮いた」 照れ隠しに口元に手を当てると、彼女は眉を下げ、ありがとうと微笑んだ。 「…つかさ、あの返事の時に気持ちが決まってたんならイエス出せよな」 「だってあの時は。もう諦めなきゃって…、思ってたから」 「…。そっか」 言いながら息をつくと、幸子はフッと口元を緩めた。 そこでふと、何か忘れている様なと考えが及ぶ。 檜はおもむろに立ち上がり、ソファーへと歩くと、その脇に置いた鞄を手に取った。 逐一彼の行動を目で追い、幸子は首を傾げる。 「はい。コレ」 持って来た鞄の中から赤い小さな紙袋を取り出すと、それを彼女の前にポンと置いた。 「何これ…?」 ベッドに正座したまま案の定、幸子は目を丸くする。 「クリスマスプレゼント」 言いながら隣りへ腰を下ろす。
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