幼子

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東海道中膝栗毛を読んでいると、こんなくだりがある。 「コウ弥二さん見なせへ、今の女の尻は去年までは、柳で居たつけが、もふ臼になつたァ。どふでも杵にこづかれると見へる‥‥」 今ならセクハラと言われるだろうこともお構いなし。 どこまでも下品だ。 だが、おもしろい。 おもしろいし、これが本来の人間なんだと思える。 欧米に右向けで、やれ健康やれモラルだなんてのは俗だ。 下品でこそ風流。 宿屋も茶屋も、売春を兼ねていた。 宿の飯盛女(給仕)も、茶屋の娘も、淫をひさぐ(色を売る)とある。 飯盛女は司馬遼太郎の作品なんかで出てきて知ってたけど、茶屋の娘もとは知らない。 これじゃ、水戸黄門やらの時代劇に出てくる娘は皆、だいぶ違ってくるんじゃないか? なんてことを考えてしまう。 読みにくいし、脚注を見ないと意味も解らないところが多い。 だけど、繰る指はとまらないし、所々で吹き出しそうになる。
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