7人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
憮然とした表情をしているふぅちゃんは、一見、自前の服を着ている。
白いセーターに白いパンツを合わせて、白いスニーカーを履いて。
ただ。
その背中には正面から見てわかるほどの大きさの羽が縫いつけられている。
頭にはカチューシャがつけられていて、そこから頭上に金色のわっかが付いていて。
天使。
この仏頂面と、不機嫌オーラさえなければ、ものっすごくよく似合うと思うんだけど。
こんなにも天使のコスプレが似合うって、さすがふぅちゃんだよね。
因みに、俺はといえば。
その辺に売ってるトナカイの着ぐるみを着せられていて、動きにくいことこの上ない。
しかも、スポンジ製の赤鼻までつけられて、息もしにくい。
これで走れって、無茶ぶりだと思うんだ。
「あれー?椎?」
よたよたと歩いていた緑の被り物の人が、久しぶり―、と、ふぅちゃんの肩をたたく。
このわさわさした緑のって…モミの木?
「加治?」
「おー。陣も来てるぜ」
「何で?」
「先輩命令~」
へらへらと楽しそうなその人の後ろに、ものっすごく違和感のある人が仁王立ちしてた。
普通によく鍛えられた男の人なのに、ミニスカサンタ…
「バカジ、誰?」
「陣。椎じゃん、ほら」
「椎?」
ふぅちゃんも大概仏頂面してるけど、その人もダメだろっていうくらい、目つき悪い。
「笠原…お前、また、奇抜な格好だな…」
ふぅちゃんですら、唖然として眉間のしわがとれた。
最初のコメントを投稿しよう!