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僕は彼女が嫌いだ。ただ日々見て、悲しそうに所を横から眺めてむかつくだけだ。彼女のその悲しそうな顔を知っているのはおそらく僕だけなのだろう。なぜなら彼女はいつも笑っているからだ。彼女は優秀で、優しい。運動は苦手。スタイルが良くって、美しい容姿。さて、誰が彼女を蔑むのか。彼女は人気者。いつも尊敬の目を向けられ、欲の対象として見られる。ただ彼女が1つ欠点を持っているとすれば、それは理解者がいない事。
僕が彼女と会ったのは一年前。
もちろん別に劇的な出会いがあったわけではないし、何か過去にあったわけでもない。ただ僕がいつも一人でいる水槽室に行けば、学校の超人気者が泣き崩れていたのだ。
鉄の扉を開け、少し急な階段を上がる。いつもの階段だ。僕はそのままゆっくりと疲れた足腰を持ち上げ、階段を上る。するとそこには泣いている女の子がいるではないか。僕はそのまま膝をついて泣いている女生徒に声を掛ける前に、いつもの窓際のイスに座る。
女生徒は僕がここに来た事は理解したようで、すぐに起き上がると涙を拭いて僕に背を向ける。僕はそのまま買ってきた缶コーヒーのプルトップを引き、口に持っていく。
女生徒は泣き顔を見られた恥ずかしさと、目が赤くなっているのを隠すためかチラチラとこちらを見たり、目を背けたりしていた。しかし決心がついたのか、
「・・・・・・何も、聞かないの?」
とこちらに身体を向けて話しかけてきた。
『聞いて欲しいのか?それで楽になるなら別に聞いてやっても良いぞ。』
と、少しツンデレの用に言ってみる。もちろん僕自身はツンデレではないが、たいていああいう言葉が発せられる時は聞いて欲しいのだろう。
「・・・・・・私ね、可愛いってよく言われるの。」
『・・・・・・・・。』
「でもね、私はうれしくないわ。だって私は何一つ自分で勝ち取った物なんて無いから。たとえ勝ち取った物があっても、だれも気付いてくれないから。」
『・・・・・・・・。』
「誰も、本当の私を見てくれないから。」
また少しづつ泣き始める。目から出た液体は、少しづつ頬を伝い、顎でやっと地面へと落ちる。僕は彼女の苦しみはわからないし、わかろうとも思わない。
『そりゃそうだろ。』
「え?」
『何他人に高望みしてんだよ。』
「・・・・・・・・。」
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