第1章

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近藤まどか、24歳。 冴えない顔に地味な服装。おまけに老眼鏡の様な色気のないメガネをかけて今日も仕事へと出かける。 自分が美人とは程遠いことはわかってるつもりだけど、時には夢を見たくなる時だってある。 誰かに愛されたり、告白されたりしてみたいとも思う。 「彼氏…かぁ…」 彼氏がいたら、やっぱり楽しいだろうな。今まで誰にも告白なんてされたこともないし、ましてや自分から告白なんて怖すぎて…考えたこともない。 綺麗な女の子には憧れるけど、到底なれるはずもないって思ってるし…なれるはずもない。 自分の殻に閉じこもって考えていた時だった。 「まどか~!!聞いてるの~?」 幼なじみの、山崎 春菜に声をかけられた。 「あ、ごめん…」 春菜は可愛くて、羨ましい。 「もう一回言うけど、一緒に合コンに行って彼氏をつくるよ?」 春菜の言葉に、まどかは目を見開いて答えた。 「…??…私なんかに彼氏なんか出来っこないよ。一緒にって…無理だよ。」 春菜だけに彼氏ができて…私は引き立て役か、むしろ邪魔なだけ。 「もっと明るく考えたら大丈夫!!」 春菜の強引さは相変わらずな訳で、今に始まった訳ではない。 春菜は、まどかが押しに弱い事をよく知っている。そして、そのまま強引に約束を取り付けるのだ。 「もぅ…嫌になるなぁ…」 まどかの呟きは、そっと静かに消えていく。 冬空に雪がちらつく中、まどかは憂鬱な気持ちを素直に溜め息にした。 それにも構わず、春菜は明るい声色で話しかける。 「まどかは自分の魅力に気づいてないだけ。すっごい原石を持ってるのに、もったいない。スカートだって、きっと似合うよ…」 永遠と続く春菜の言葉を、まどかは聞き飽きたかのように…まるで耳に届いていない。 まどかにとって合コンは、苦痛というものでしかない。春菜の様に可愛くて、自信に充ち溢れている隣に自分がいても、私は…ただの風景として見られるだけだ。 私には合コンの意味なんて、何にもない。 ただ苦痛なだけ…。 私の気持ちなんて…春菜には分かんないよ。 そうこうしている間に、いつもの職場へと着いていた。
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