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テーブルには、既に他の人達が集まっていた。
「春菜ちゃんと、まどかちゃんだね?」
いかにもエリートの様な感じの男の人から声をかけられた。
「はい、春菜ですー。こっちが、まどか」
「はい、まどかです。」
席には男性が三人。エリート、癒し系、体育会系、それぞれ顔の整った人達。
女性は私達の他に、春菜の友達という綺麗な女の人が座っている。
飲み物を頼んで、とりあえず乾杯をして…それぞれに話をして。
まどかは黙々とビールを飲み、そっと席を立った。
「まどかちゃん、何処いくの?」
エリートっぽい男性に声をかけられた。自己紹介はしたけれど、名前もよく覚えてない。
「ちょっと、お手洗いに。」
居心地も悪いし、早く帰りたい…。
「そうなんだ。もう帰っちゃうのかと思った。」
まどかは表情を変えずに軽く会釈をしてトイレに向かう振りをしながら、店を後にした。
まどかの瞳からは涙が溢れていた。
「惨めに…なって…仕方がないっ…。もうっ…本当にイヤだよ…っ…。」
春菜も友達も可愛くて綺麗で…引き立て役の私はバカみたいだ。
「…お酒でも買って帰ろう。」
まどかは落ち込む様にトボトボと歩いていると、後ろから肩をたたかれた。
「やっぱり帰るんだね。」
振り向くと、さっきの合コンにいた男性が立っている。
「っ!!…どうしているのっ!?」
男性は優しい笑顔をしている。
「君が気になってさ。気づいたら追いかけてた。」
まどかは、まさか自分に好意を寄せる訳がないと思いながら口を開く。
「冗談の様な嘘は止めてください。私なんかより、春菜とかの方がお似合いです。」
男性を振り切る様に、まどかは走りだそうとした。
男性は、とっさに大声で…
「嘘じゃないし、冗談でもないっ!君は僕をバカにしてるのか?!」
思いもよらない言葉に、まどかは思わず叫んでしまっていた。
「はぁ?!…っあなたの方が私をバカにしてるんじゃないですかっ!いったい、私の何処が良いって言うんですか?!」
男性は、まどかの予想外の反応に一瞬、目を見開いた。
そして頭を抱えながら溜め息をつくと、静かに声を出した。
「君、自分自身の魅力に気づいてないの?」
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