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「何…それ…。冗談で…言ってるの?」
まどかは信じられない様に声を出すと、男性をまじまじと見つめている。
「その反応、計算じゃないんだよね?」
男性の言葉に、まどかは返す言葉もなかった。
初めて男性が自分に対する好意の言葉を耳にした。
まどかは顔を真っ赤にしながら、男性から逃げるように走り出し…気づいたら家に帰っていた。
息を切らしながら玄関にうずくまる。
「絶対に……あり得ないよ……。もしかして私、騙されてる?…」
頭の中で、男性の言葉がグルグルと回っている。
その直後に携帯が鳴り出した。
その着信音に驚いて、身を震わせる。
「……はい。」
電話の主は春菜で、怒るように話している。
どうして急にいなくなったのか、男性を振り切って逃げていった話も春菜の耳に届いていたらしく、散々と説教を聞くはめになってしまった。
春菜が電話の向こうで、これだけは言っておくと何回も言っていた。
「まどかを追いかけてた山崎くんだけど、まどかの事を本気だって。まどかの番号を教えておいたからね。ちゃんと話を聞いてあげてよ?」
そう言って春菜の電話は終わった。
「山崎さんって言うんだ。……じゃなくて、私の番号……って」
立て続けに着信音がなり始める。
知らない番号だけど、きっと山崎さんだ……。
「……っ!ど……どうしよう…」
しばらく経って、着信音は止まった。
ほっとしていると、また知らない番号で電話がなり始めた。
怖いと思いながらも、申し訳ない気持ちで恐る恐る電話に出た。
「は……い。」
電話の向こうは、やはり山崎さんだった。
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