第1章

7/21
前へ
/21ページ
次へ
『もしもし。まどかちゃん、さっきは言い過ぎてしまった。本当にゴメン』 またもや予想外の言葉に、まどかは困惑してしまう。 「こ……こちらこそ、すいませんでした。では、…」 『-とりあえずデートに付き合ってよ』 「っえ…!?何を言って…私なんかと…」 『明日、迎えに行く。』 「はあ?!ちょっと待って無理!!私の家も知らないくせにっ」 『ちゃんと春菜さんに聞いたし、10時に行くから。』 そう言って電話はきれてしまった。 「え……デート?…うそ、、。全く実感が無い。」 デートに誘われたら、もっとソワソワするものかと思っていたのに。 そう言えば春菜と山崎さんって同じ名字なんだな。 デートって何するんだろ。 まどかは、色々と頭の中で思いをめぐらせながら夢の中へ……。 デートの実感が無いせいか、まどかはグッスリと眠っている。 翌朝-。 まどかは色気もない服を身に纏って山崎さんの迎えを待っていた。 時計の針は、もうすぐ10時になろうとしている。 携帯電話には山崎さんからのメールが届いていた。 「もうすぐ着く」 何とも無機質なメールに、まどかは溜め息をついた。 「本当に迎えにくるんだ…」 鏡の前で自分の姿を見るも、どう見ても魅力の欠片も感じられない。 「騙されて…ないよね…」 不意に着信音がなり始めると、まどかは窓の外を眺めた。 家の前には黒い高級車が停まっている。 「…え…。うそ…」 まどかは、電話に出るのも忘れる程に驚いていた。 「私なんかと釣り合ってる気がしない…」 着信音が鳴りやむと、すぐに再び着信音が鳴り始める。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加