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着信音は、しばらく鳴り続けていた。
「あ…電話…出ないと…」
落ち着かない気持ちで、まどかは携帯電話を耳に押しあてた。
「はい…」
『準備、出来てるよね?』
山崎さんの声が聞こえて咄嗟に「…はい」と返事をしてしまう。
『待ってるから』
そう言うと電話は切れてしまった。
行きたくない様な…行った方が良い様な…。
頭の中で、自分と釣り合ってる気がしない-。この言葉が何回も繰り返されている。
戸惑いながらも、まどかは山崎さんの車へと向かった。
「あの……山崎さん。私、やっぱり無理-。」
「まどかちゃん、来てくれたんだね」
山崎さんは助手席のドアを開けると、まどかの手を掴んで車の中へと引っ張り入れた。
「だから、無理だって…言って…」
まどかの目の前には、真剣な顔をした山崎さんが近づいてくる。
「無理じゃない…でしょ?」
山崎さんの言葉に耳まで赤くなったまま、まどかはフリーズしてしまった。
かろうじて声を出した言葉は…
「私を、からかってるの…?」
「……。」
しばらく沈黙した後、山崎さんが口を開いた。
「まどかちゃん、僕は本気だよ。マジで逃さないよ?」
まどかは、うつむいたまま静かになってしまう。
山崎さんは、続けて話はじめた。
「君の本当の魅力が、目に見えるようにしたい。そしたら僕の言葉も信じられるよね?」
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