一両目 おばあちゃんのバタークリームケーキ

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孫は見た事のない男と少女をつれている。 曳野は驚くおばあちゃんに挨拶した。 「曳野と申します。突然の訪問を失礼しました。日万里ちゃんがどうしてもこちらへ来たいというのでお連れしました」 「日万里が? それはご迷惑をお掛けしました」 おばあちゃんは快く三人を家に入れてくれた。 おばあちゃんは三人にお茶とお茶菓子を出してくれたが、突然の訪問だったのでバタークリームケーキはない。 でも日万里ちゃんは食べたいと言わない。 『あれ? 言わないの? バタークリームケーキを食べに来たんじゃないの?』 ウサミミは不思議に思って日万里ちゃんを見た。 曳野はここへ来た経緯をおばあちゃんに説明した。 「どうしてもおばあちゃんのバタークリームケーキが食べたいと日万里ちゃんがいいまして」 「まあまあまあまあ。知っていたら用意していたのに。日万里ちゃん、バタークリームケーキを食べたかったの?」 「もういらない」 日万里ちゃんはいらないと首を振ったのでウサミミは呆れた。 『あんなに食べたいって言ったのに、嘘だったの!?』 子どもに騙された!? 「遠慮しなくていいのよ。日万里ちゃんはバタークリームケーキが大好きだったものね。買ってくるからちょっと待っていてね」 出掛けようとするおばあちゃんを曳野が引き留めた。 「私が買ってきます。店の場所を教えてもらえますか?」 「えーと…」 思いだそうとするおばあちゃん。 「一緒にお願いします」 曳野はウサミミと日万里ちゃんに「すぐ買ってくるから二人で待っていてくれ」といい渡すとおばあちゃんと外に出た。
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