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呼び鈴代わりの発車メロディーが「曳野鉄探偵事務所」内に響き渡る。
“♪ チャラチャンチャララン、チャララアラー、チャラランチャララン、チャラチャンチャンー”
これを聴くとまるでここが駅のホームのように感じるが、現実は来客の合図だ。
「あー、またかな」
曳野はしかめっ面になった。
「どうかしましたか?」
「ここ数日間ピンポンダッシュされていて困っているんだよ。来客の予定はないからまたそれかもしれない。発車メロディーが面白くて押してしまうんだろうね。開けても誰もいないかもしれないよ」
「あ…、あー、あー、子どものイタズラですかね?」
自分も前に同じ事をしたので、ちょっとバツが悪いくなりながらウサミミはドアを開けた。
すると…。
誰もいないと思っていたが、リュックを背負い、黄色い学帽を深く被った小学校低学年の女の子が立っている。
『どこの子???』
探偵事務所は子どもがくるようなところではないからウサミミは戸惑った。
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