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「お母さんに何故頼めないのかな?」
「お母さんはおばあちゃんが嫌いです」
「そのおばあちゃんはお父さんのお母さんかい?」
「そうです」
どうも嫁姑問題が絡んでいるらしい。
「お父さんは?」
「お父さんは死んじゃいました」
その言葉を出すだけで日万里ちゃんは声を震わせ涙を浮かべた。
どうやら一筋縄ではいかない事情がありそうだ。
「君はお母さんと二人暮らしかい?」
日万里ちゃんは首を横に振った。
「お母さんのおばあちゃんとおじいちゃんと暮らしています」
「お父さんが生きている時にはよくお父さんのおばあちゃんと一緒に過ごしたんだね」
「お父さんが生きている時はよく電車で遊びに行きました。でもお父さんが死んでからお母さんが連れていってくれなくなって、会えなくなりました。お母さんはよくおばあちゃんの悪口を言います。だから会いたいって言えません」
「そうか」
どうやら事情は分かった。
おばあちゃんには会いたいが、お母さんに知られてはいけないと日万里ちゃんは考えている。
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