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「私、おばあちゃんがよく食べさせてくれたバタークリームケーキをまた食べたいんです」
「バタークリームケーキ?」
ウサミミはそれを食べた事がなくて想像できない。
曳野が説明した。
「バタークリームケーキというのは常温で日持ちするから、今のように冷蔵技術や流通経路が整っていない昭和時代によく食べられたケーキだ。今でも作られないわけじゃないけど、生クリームケーキがほとんどだよね」
生クリームケーキならウサミミも大好き。
滅多に食べられないけど。
「お母さんはバタークリームケーキを不味い、貧乏くさいって嫌っていました。でも私は好きです。おばあちゃんがよく出してくれたバタークリームケーキをまた食べたいです」
ウサミミはこの小さな女の子の願いを何とか叶えてあげたいと自然に感じた。
「良く分かったよ。何とか探してみよう」
曳野もボランティアで探すことにしたようだ。
「ありがとうございます!」
日万里ちゃんは大喜び。
「よかったね」
大家の孫も喜んでいる。
『引き受けてくれてよかった』
ウサミミは日万里ちゃんの境遇が自分によく似ているので力になれて嬉しい。
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