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「今日は来るの早かったね、ティア」 僕の隣に座っていた少女がこそっと僕に話しかける。 「ミザリに引きずられてたからね」 僕はそれに小声で返答して静かに左手を差し出す。僕の左隣の彼女はだいたいいつもお菓子を持っている。僕はこの打ち合わせの時間にいつも何かしらのお菓子をもらっていた。──差し出した左手には棒つきキャンディ。 「さて、今日の公演だが」 団長が座りなおして話を始める。 「基本的にはいつも通りの公演内容だが、何か意見がある者は?」 少し静まり返るテントの中。そしてしばらくして。 「団長」 「なんだねミザリ」 ミザリが手を挙げ団長がそれに反応した。ミザリは言う。 「公演内容に異存はありません。ですがそれ以上に話し合わなくちゃいけないことがあると思います」 「ほう、なんだね?」 「ティアのことです」 先ほど静まり返ったのが嘘のようにテントにざわめきが広がる。僕はそんなことよりも目の前の棒つきキャンディのほうが大事だったので黙殺した。 「いつもいつも打ち合わせには遅刻、しかも他のレギュラーメンバーに探しに行かせるほど遠くに出かけ、自由時間にはなにも練習をしない、こんな生活態度でメインキャストに入っているほうがおかしいと思います」 テント中の視線が僕に集まるが僕は再びそれを黙殺する。
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