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サツのために動くのに、サツが俺たちも一網打尽にしようとしているとは・・・・・雪兎を奪還できたとはいえ、代償はかなり大きい。
組のみんながパクられずに篠崎を潰すのは至難の業だ。
ヤツラを潰したいのは山々だが、嫌な監視付きの上に生け捕りという枷までついている。
「先生、守備はどうですか」
オヤジは体を向け、手を組んで前のめりになって小松川に尋ねた。
「ヤツラ絡みの不動産取引を洗い出して7割がた介入しました。勝敗は6割勝利ってとこですかね。相手の弁護士もなかなか手強くて」
「二階堂とかいう悪徳弁護士か」
「まぁ、私も他人の事は言えませんけど、なかなかのキレ者です。手の打ち方は絶妙で五分五分ってところなんですよ」
「あとの一割勝ってるのは、アンタのタラシの業(わざ)ってことか」
「あっ・・・・・会長まで・・・・坊ちゃんが告げ口したんですか?」
「告げ口じゃねぇ。ホントのことを報告したまでだ」
小松川は不服そうに目でこちらに抗議した。
「それも私のやり口の一つなんです。立派な手法の一つなんで・・・・」
「俺もアンタの手法に口出しはしないが、刺されてもかばってやれねぇ」
「大丈夫です。それほど悪どいことしてませんって」
「ほほう、そうか。じゃあ任せるから。・・・・・で桂斗の方はどうだ?」
「私の方から説明します」
佐竹は頭を下げて手帳を取り出す。
「敵はハーブ、危険ドラッグ類を吉祥寺周辺のマンションで自家栽培し、チンピラを使って商品化しています。ヤクのルートはベトナム産で香港経由です。こっちは簡単に潰せそうですね。ドラッグの方は分散している分一つ一つを潰すのに時間がかかりそうです」
「客層はどうだ。どんなルートで販売している?」
「宗教法人を使っています。雑誌広告の無料相談をキッカケにして人を集めるルート、ヤクつけにしたキャバ嬢を媒介として男性客へばら撒くルートがありました。百瀬の件で浮かび上がった女もいました」
「ソイツらどうどう処分した?」
「女5人はこちらの手の中に。みんな監禁してクスリ抜いてます。今は猛獣小屋にぶち込んであります。宗教法人は坊主を脅して法人ごと手に入れました」
「さすがだな。手際がいいぞ」
「恐れ入ります」
探ったのは俺もいたけど、ほとんどの采配は佐竹がしている。俺は何一つしていない。
やっぱり佐竹はやり手だ。次々に手を打ってある。
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