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やっぱりオヤジはすごい。佐竹に認められるとかそんなこと考えてる自分が甘かった。
帰ろうとした時、オヤジに呼び止められた。
「ちょっと・・・・自宅(ウチ)に来ないか?」
「えっ?」
「話がある」
「長くかかるのか?」
「わからねぇ、話し次第だ」
「わかった」
別々の車に乗り込んで品川のマンションに急ぐ。日曜日の東京は静かなものだ。
それでも午後になると道も混んでくる。
家に行くと、いつものように雪兎が変わらぬ笑顔で迎えてくれた。
「いらっしゃい。・・・・この前は騒がせてごめん。すっかりみんなを巻き込んじゃって」
「気をつけろって言ってたのに」
「うん、また僕の配慮が足りなかったせいだね。あっ・・・・兎に角寒いからどうぞ」
日当たりのいいリビングに通される。大きな窓から太陽の温もりと綺麗な富士山が迎えてくれた。
オヤジはそのまま寝室の方に消えていく。雪兎に勧められ柔らかなソファに身を埋めた。
「やっぱり温かい飲み物がイイよね。なににする?」
「ココアある?」
「大丈夫、あるよ。佐竹さんはどうする?」
「坊ちゃんと一緒でいいです。あっ・・・手伝いましょう」
佐竹が立ち上がってジャケットを脱いだ。
「いいよ、佐竹さんも桂斗もお客さんなんだし」
「雪兎、佐竹の好意に甘えておけ。心配だから言ってるんだ」
「だから~!お湯いれるくらいできるよ」
「怪しいから言ってるんだろ。佐竹、手伝ってやってくれ」
「わかりました」
雪兎は頬を膨らませて抗議した。
「もう、みんなして僕をバカにして!」
「ゆき、コイツ等の好意だ。かわいい子は甘やかせたいんだよな。好意はありがたく受け取っておけ」
寝室から出てきたオヤジは、雪兎を抱き寄せて膨らんだ頬にキスをする。
相変わらずのベテつきぶりだ。何年も一緒にいるのにイチャイチャできるものなのかな?普通倦怠期とかになっていそうなんだが。
「桂斗と込み入った話をする。部屋に飲み物持ってきてくれ」
「うん。僕と佐竹さんはお留守番?」
「そう、佐竹にはベタベタするな」
「当たり前だろ!まったく虎太郎まで・・・・」
プンスカと怒っている雪兎を置いて二人でマスターベッドルームの方に移動する。
ベッドルームも広くてテレビやソファセットがある。ホテルのスウィートのようだ。オヤジはソファに座るように促した。
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