第9楽章

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やっぱりオヤジはすごい。佐竹に認められるとかそんなこと考えてる自分が甘かった。 帰ろうとした時、オヤジに呼び止められた。 「ちょっと・・・・自宅(ウチ)に来ないか?」 「えっ?」 「話がある」 「長くかかるのか?」 「わからねぇ、話し次第だ」 「わかった」 別々の車に乗り込んで品川のマンションに急ぐ。日曜日の東京は静かなものだ。 それでも午後になると道も混んでくる。 家に行くと、いつものように雪兎が変わらぬ笑顔で迎えてくれた。 「いらっしゃい。・・・・この前は騒がせてごめん。すっかりみんなを巻き込んじゃって」 「気をつけろって言ってたのに」 「うん、また僕の配慮が足りなかったせいだね。あっ・・・・兎に角寒いからどうぞ」 日当たりのいいリビングに通される。大きな窓から太陽の温もりと綺麗な富士山が迎えてくれた。 オヤジはそのまま寝室の方に消えていく。雪兎に勧められ柔らかなソファに身を埋めた。 「やっぱり温かい飲み物がイイよね。なににする?」 「ココアある?」 「大丈夫、あるよ。佐竹さんはどうする?」 「坊ちゃんと一緒でいいです。あっ・・・手伝いましょう」 佐竹が立ち上がってジャケットを脱いだ。 「いいよ、佐竹さんも桂斗もお客さんなんだし」 「雪兎、佐竹の好意に甘えておけ。心配だから言ってるんだ」 「だから~!お湯いれるくらいできるよ」 「怪しいから言ってるんだろ。佐竹、手伝ってやってくれ」 「わかりました」 雪兎は頬を膨らませて抗議した。 「もう、みんなして僕をバカにして!」 「ゆき、コイツ等の好意だ。かわいい子は甘やかせたいんだよな。好意はありがたく受け取っておけ」 寝室から出てきたオヤジは、雪兎を抱き寄せて膨らんだ頬にキスをする。 相変わらずのベテつきぶりだ。何年も一緒にいるのにイチャイチャできるものなのかな?普通倦怠期とかになっていそうなんだが。 「桂斗と込み入った話をする。部屋に飲み物持ってきてくれ」 「うん。僕と佐竹さんはお留守番?」 「そう、佐竹にはベタベタするな」 「当たり前だろ!まったく虎太郎まで・・・・」 プンスカと怒っている雪兎を置いて二人でマスターベッドルームの方に移動する。 ベッドルームも広くてテレビやソファセットがある。ホテルのスウィートのようだ。オヤジはソファに座るように促した。
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