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「若は貴方を想う気持ちが深いからこそ、貴方と暮らすために失う代償は自分ですべて解決するという強いお気持ちがあった。乗り越えるために相当の努力をされ、精力をお使いになったと思います」
そう・・・・僕にはそんな素振りみせないで、すべてクリアにしていった。
本当にすごい人だ。彼は高校生の時にすべて解決して見せた。
「若という方はそれだけ強い方なのです。坊ちゃんは若のような豪傑ではない。今は私とのことで労力を使うべきでないと思います」
「桂斗だって弱い子じゃないです。貴方を手に入れるためならどんどん強くなれると思います」
「私は・・・・お察しの通り、彼を愛しています。そんな苦労は・・・・私が、させたくないんですよ」
「わかりません!僕には・・・・・わかりません」
「極道の世界はまだまだ旧態依然のままです。しがらみや慣習などあります。
大きく外れないでいれば組の重鎮や兄さん方も納得いくでしょう。
若は改革をして、それらの方々を納得させるだけの根回しをする機転も、相手を論破できる強さを持っていた。本当にすごい方なんです・・・・それを坊ちゃんに求めるのは酷というものです」
「丸く収めるために、気持ちは封印しろと?」
「はい、相手が私ではなおさらです。組長と若頭である私が懇(ねんご)ろなんて・・・・言わずもがなです。
私が若頭になるのでさえ異論が出たのです。若頭の件は若が押さえつけましたが、坊ちゃんと私の関係が深くなれば、組を離れていくものも出るでしょう」
「それじゃ・・・・桂斗が可哀想じゃないか」
思わず涙が溢れてくる。涙を流すと跡になって桂斗に叱られるから、必死にこぼれないように我慢する。
「私の事は忘れるのが最良だと思います。
今回の事で気が付いたのですが、案外私は嫉妬深くて独占欲の強い男でした。
私のような男がお傍にいて、彼のプライベートも支えるのは支障が出るかもしれません」
「貴方たちにはいい未来は来ないんですか?」
「今回の件が終わったら・・・・・私も覚悟を決めたいと思います。その時彼がどういう決断を下すかで未来は決まるでしょう。その時、どんな結果であれ、雪兎さんに報告しますよ」
「僕は・・・・・貴方たちの幸せを祈りたいです」
「私も努力は惜しまないつもりです。ただ・・・・・最後は組長の判断に委ねて、その結果いかんで自分の身の処し方を決めます」
「わかりました。でも、桂斗には・・・・幸せになってほしい」
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