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今日も寒い。
学校は高校入試で一週間休みになってしまう。
その前に犯人の目星くらいはつけたい。
白い息を吐きなが徒歩で学校に急いだ。
「桂斗、おはよう」
「あっ、隆弘。おはよ」
後ろから肩をたたいてきたのは親友の隆弘だ。
「今日はちょー寒いな」
「あと一週間で休みだから頑張るしかないよな」
「ああ」
「今日は午後から雪だってさ」
「どうりで寒いわけだ」
ダッフルコートの襟もとをギュッと掴んだ。
ウチの学校は冬服はエンブレムの付いたブレザーにチェックのズボン、水色のシャツにズボンと同じ配色のネクタイだ。それに今みたいな寒い時期は、ブレザーの中にセーター、コートはダッフルを着用していいことになっている。
俺はこのダッフルコートが似合わない。
こういうのは似合う似合わないがはっきり出てしまう。
私服だったらダッフルは絶対買っていない。
隆弘は甘いマスクで身長は俺より少し高い。髪色も黒くて、ダッフルコートもしっくり着こなせている。
「今日の午後、体育だからその前に雪積もらないかな」
「積もったら体育館だもんな」
「マラソンなんてヤだよ~、おもしろくねぇ。サッカーとかだったらいいんだけど」
「だよな」
ごくごく普通の会話・・・・こういうのってホッとする。
年相応の会話が自分の心を癒してくれる。
だけど、犯人を突き止めるのは6日しかないということだ。
そう悠長に高校生活を楽しんでいる時間はない。
「土曜日、学校休んだけどなんかあった?」
「ん、ちょっと頭痛くてさ」
「熱出たのか?」
「いや、ゲームのやり過ぎで目が乾いたのかも」
「おい、この時期ゲームやれてて余裕だな」
「まぁ、受験しないからな」
「他の奴らに言うなよ。気が立っているから」
「そだな。気を付けるよ」
そう云いながら教室の前で別れた。
冬の日差しが教室の中に深く差し込んで、部屋の中は割と温かい。
コートを脱いでロッカーに入れると、ジャケット脱いで椅子に掛けた。
ポカポカして眠くなりそうだ。古文の時間だから余計眠い。
動詞の活用ってなんだ?・・・・考える間もなく睡魔に襲われた。
この貴重な子どもの時間を奪われるのは本当に気が重い。友達の颯太が絡んでいるとなるとなおさらだ。
犯人が知り合いでなければいいな。
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