第10楽章

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民間療法と大差ないモノだから、効くか効かないかは運任せみたいなものだろうが、俺にとっては真剣そのものだった。 もしかしたら、あの佐竹もエロい気持ちになって、俺とHしたい気分になるかもしれない。 やっちゃったら・・・もしかしたら好きになってくれたりして・・・・・。 妄想は膨れに膨れた・・・・・完全なるバカの発想。 相変わらずの『躰から落そう』作戦。 よくよく考えれば、ノンケの男を躰から落そうとするのは無理な発想だろう。 心が伴わなかったら、わざわざ相手に男を選ばない。 キモチがなかったら男の俺なんか対象にならないのに・・・・・そこが俺のアホなところなんだろうな。 こんなことを真剣にやっていると嫌なことすべて忘れられる気がした。 来たるべきバレンタインデーに向けての作戦を優先して、結局心血を注いてしまう。おもいっきり邪念満々で、媚薬作りに3日費やしてしまった。 エロいこと考えているんだからオヤジのこともいえないか。 媚薬の小瓶が完成した時には週の半ばを過ぎてしまっていた。 『ヤバい・・・・・さすがにヤバいだろ・・・・・』 いくらエロ脳に犯されたとはいえさすがに焦りが出てくる。 颯太は絞り出すようにヒントをくれたんだから無駄にしてはいけない。 俺たちのいつもつるんでいる仲間は5人。 被害者の2年1組 長谷川 颯太と当事者の俺(2-1)を除くとあと三人だ。 俺の親友、佐々山 隆弘(2-2)、エロ話が好きな片岡 伸也(かたおかしんや)2年4組、伸也の幼馴染の花邑 稜(はなむらりょう)2年6組だ。 まずは伸也から調査を始めた。 佐竹から”身体検査”の結果のメモを渡されていたので目を通す。 【片岡伸也】住所は世田谷区豪徳寺・・・・・親父さんは代々木で輸入業の会社を経営か。取引先は東南アジア、中国、フィリッピン・・・・・まさかヤクに関わってないだろうな。 屋上階段室に駆け込んで急いでスマホを取り出し、佐竹に電話する。 「佐竹、俺だ。片岡伸也の親父・・・・調べたか?」 『坊ちゃん、犯人は貴方の友人の中にいると?』 「その可能性が高い」 『片岡君のお父様は輸入業でしたね』 「まさか篠崎のヤクのルートの片棒担いでないか?」 『それでいうと花邑君もかなり怪しいです』 「えっ?」 花邑 稜のメモを見ると、 【花邑 稜】住所は狛江市喜多見・・・・・親父さんは三鷹で不動産業・・・・吉祥寺で不動産業をしている篠崎とは近所で同業。
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