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今日の服は何がイイだろう。あまりセンスというものがないから皆目見当がつかない。おしゃれでもないし、服にも興味がなかった。
でも服を気にするなんて・・・・恋の力は偉大なりってところか。
別にかっこよく着飾っても相手が萌えてくれるとは思えないけど・・・・でもみっともなくて一緒にいたくないとかも嫌だし・・・。
コンコン・・・・・
この頃ドアの叩き方で誰が来たかわかるようになってしまった。
佐竹はゆっくり、なんか一つ一つに重みがある低い低音を響かせる。
「坊ちゃんまだですか?」
「あっ・・・・待って。私服なんてあんまり着ないから迷っちゃって」
「ふぅ、まったく」
そう云って鍵を開けて入ってきた。
「バカ!入ってくんなよ」
パンツ一枚の状態で侵入されたので、また両手で胸を隠していた。
なんでだろ?胸ないのに。
「なんでもいいんですよ。別にデートするわけじゃありませんし」
「えっ!デートじゃねぇの?」
アイツの動きがピタッと止まった。
「デートだと思ってたんですか?いつそんなこと言いました」
「学校休んで出かけよう・・・・とかいうから・・・・てっきり」
「なんで坊ちゃんとデートしなきゃいけないんですか」
「・・・・・・・・」
なんだよ。すんごく楽しみにしてたのに・・・・そんなに否定しなくてもいいじゃないか。
「仕事・・・・絡みか?視察とか」
「その点は違います。完全にプライベートですね」
「ふん」
心臓を掴まれるような痛みが襲う。俺だけいつも空回りだ。
確かに片思いだし、相手にしたらただの気分転換でもと思ったんだろうが、俺は昨日からテンションあがりまくりなのに、この温度差はなんだか悔しい。
「そうですね、行く前に服を買いに行きますか」
「またオヤジのブラックカード?」
「ええ、でも今日はかなりプチプラで」
「はぁ?プチ・・・?なんだそりゃ」
「安くてかわいい服買いましょう」
「お前、女子っぽい・・・・気持ち悪い」
「今流行りの言葉を使ってみたんですが・・・・坊ちゃんの方が鈍感でしたね」
「わるかったな。ファッションとか流行りとかに疎いんだよ」
佐竹はとりあえずクローゼットを覗いた。一通り見渡すと、バットマンTシャツに紫のダウンのジャンパー、膝にダメージのあるジーンズをポンと投げてよこした。
そう云えば今日はコイツも私服だ。革ジャンに細身のジーンズ。割と腰回りが細いんだな。ついついケツをじろじろ観察してしまった。
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