第9楽章

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「他人のケツをジロジロ見ないでください」 「結構細いんだな。上半身マッチョなのに」 「スクワットして足腰鍛える手もありますが、あまり足回り鍛えすぎると機動性に欠けますから」 「ふぅーん、そんなもんなんだな。俺も上半身中心にしようかな」 「あまり大きくし過ぎてもバランスが悪いです。要はトータルバランスです」 「俺も細身のジーンズ買お」 「貴方はダメですっ!」 「なんで?自分も履いてるくせに、なんでダメなんだよ」 「狙われるから・・・・・」 「俺なんか狙う・・・・ん・・・・狙うのかな~」 昨日の榎田を思い出したらそれ以上言えなくなった。別にいいケツなんかしてないし、俺見て発情する男がいるわけないと思ったんだけど・・・・。 「貴方はストレート以上、できればオーバーオールとかにして欲しいくらいです」 「あんなの似合わねぇよ。カッコ悪い」 「かわいいと思いますよ」 可愛いって本気で言ってるのか?どうせ心の中で嗤ってるんだろ。 結局、佐竹セレクトで出かけることになった。 車はいつも通りのベンツ・・・・でも今日はいつもと違うことをしてやろう。 いつも通り佐竹が後部座席のドアを開けた。 そうやすやすといつも通りにしてやるもんか!自分一人だけでもデート気分を満喫してやる。 アイツにケツアタックしてよろけたところで、すかさず助手席に乗り込む。 「なっ、坊ちゃん。そちらの席は・・・・」 「いいだろ、たまには・・・・・」 舌を出してあっかんべーしてやった。ざまあみろっ! 「はぁ・・・・仕方ないですね」 運転席に仕方なく乗り込んで車は出発する。 ウチから走ること1時間ほど、河を越えてだいぶ緑が多くなってきた。 森林浴デートか、公園デートか? 郊外型の商業施設でアウトレットの服を買って着替えさせられた。 なんだかジャニーズ系で恥ずかしい。この腰に巻いたチェックのシャツはスカートみたいでかっこ悪くないか? 「カッコいいですよ。高校生らしいし、爽やかだ」 「あそ、サンキュ」 なんだかすごく照れる。こんな近くで、それも本人にそんな言葉言うかなぁ。 「寒くないですか?マフラーいります?」 そう云うと、アイツは俺が買った黒に紫の線の入ったマフラーを巻いてくれた。 佐竹の匂いがする・・・・・すごく安心するかも。 毎日してくれているのだろうか。 俺が買ったってわからなくてもなんだかうれしい。
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