神様たちの朝

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[サクヤに命ずる。 その社にお姥君が参った際には、必ず迎え入れ善きに計らえ。 また、これの退去を促す行為は一切禁ずるものとする] 「なんだ?コレ…」 サクヤから宝翰を渡され、一読したカノエも首をひねる。 「別に…今までもお姥さまに礼を失する事など無かったはずじゃが…? 何か、お姥さまのご不興を賜ったのであろうかのぅ…?」 「心当たり…ねぇんだけど…?」 「吾とて無いわ」 「………こう言う場合は…」 「一平!出番じゃ!考えよ!」 「まーたー僕ぅ~!?」 嫌そうな表情をする一平に、カノエがポツリと…。 「お前が小賢しくて…助かるぜ…」 「あのさぁ…?それって間違いなく僕に失礼だよね?」 「俺は誉めたつもりだ」 「とにかく、一平! ソチの考えを述べてみよ。 このご宝翰、どう見るかぇ?」 「そんなの決まってんじゃん。 もう少ししたら、命婦さん、乗り込んで来るんじゃない?」 「何じゃと?」 「昨夜…来たばっかだろ…? また何か他に用事でも有んのか?」 「ノノくん争奪戦だよ。 ノノくん、笛の才気は前から現れてたでしょ? だから弁天一族は、ノノくんを前から男弁天と目して色々と手を打ってきてたみたいじゃん。 何たって、父親も男弁天だからね。 男弁天のサラブレッドだよね。 そりゃ~、弁天一族としたら手加減とか有り得ないよね~。 だからさ?どうしたって弁天一族の方が桜神族よりノノくん問題については一歩リードしてるのは否めないじゃん。 そこで桜神族としては、当主宣下なんて大それたものを発してでも、ここで一気に巻き返したいんじゃないの? その代表が命婦さんで、来たら必ず迎え入れなきゃいけないし、命婦さんが自分の意思で帰らない限り、ずぅーっとココに居られるって事でしょ? あは。かなり必死過ぎてちょっと可哀想…。笑っちゃうくらい。 桜神族、たぶん本気で攻めて来るんじゃない?」 「笑ってる場合かよ!どうすんだ!?ノノが食われちまうぞっ!!!」 「ノノを埋めて隠すのじゃ!」 動転するカノエとサクヤに、一平が気楽な風情で。 「食われないし。埋めなくて良いし。つか、埋めないでよ。 良いんだよ。桜神族の当面の敵は弁天一族なんだから。 僕たちは観戦者で」
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