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この私の存在…。
これは…やっぱり…裏切りになってしまうのかな…?
それが…切ないな…。
けれど…。
本当に強い国家が誕生する時に、頂点は二つも要らない。
王冠は、太陽のように頂点に一つ輝くもので、並ぶものは許さない。
そして、この帝国を完成させるのは、帝王になる兄者がやっぱり独りでやらなきゃ…ダメだよ。
全国民が見つめる玉座への階段は、たった独りで登らなきゃ。
国が乱れる元になるし、せっかくの栄光に陰を作る事になる。
それには私は…少し目立ちすぎちゃったみたいだ…。
これ以上…あなたの隣に居たら…、私は許されない“王者の隣に座れる者”になってしまう。
あなたの害になるくらいなら…。
大切なあなたと私のこの国の為になるのなら…。
喜んで、私は私を消しましょう。
それがどんなに辛くとも、この魂さえ削り落とすような艱難であろうとも。どうか…あなたと我が子たちに…限り無い栄光と希望を…!
この私の存在そのものを…その代償に捧げますから…。
それから…。オオナ兄者…?
あなたは…妻妾を迎え過ぎです。
全く…。結局、最後まで気付きませんでしたね。
私にとって、生涯でたった一度のものでしたのに。
これは、ちょっとは怒っても許されますよね?
毎夜、あなたの身仕度を整えて内廷から妃たちの所へ送り出す時の私の悔しさなんて…絶対に兄者には思いもよらないでしょうね。
…………………。
ずっと…。
ずっと大好きだったのに…。
ずっと…。兄者だけが大好きだったのにな…。
………兄者なんて、大バカ野郎だ。
この現世(ウツシヨ)は有限の世界。
移り変わる躍動の楽しい世界だ。
けれど…、私は少し疲れてしまったようだね…。
何やら…もう…。
あぁ…。いつの間にか…こんなに疲れてしまっていたよ…。
大好きでたまらない…あなたの隣に居る事すらも…ね。
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