神様のお医者さん

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「神格は正一位とし、魂種(タマグサ)は枝一等の宿り神と定め授ける。 尚、宿親の神は、これを少名彦那神とする。それにつき、その神籍に属される」 平たく言えば、アラシは神としては少名彦那の分身として扱われ、アラシ自身にもその力が顕れてくるようになる。 表向きの名も少名彦那となる。 更に正一位の神格で魂種が枝一等の宿り神ならば、宿親の神に限りなく近い神力が顕れ、宿り神としては最強で最高の地位である。 更には、宿親の孫分神を作る能力まで具わる。 アラシで例えるなら、少名彦那の宿り神の中で末端の最下位、少名彦那神の分霊を作ろうと思えば作れる。 しかし、基本的に枝一等だろうが枝二等だろうが、宿り神の分霊作りは宿親の許可制とされていて、無断で行うことは倫理的に禁じられている。 まぁ、難しい事は抜きにして、医神を志すアラシとしてはこれ以上無いほどの最高のスタートラインを用意された事になる。 ナゼとならば、少名彦那は大和神族の医神として、名実共に間違いなく最高位の太神なのですから。 コトシロが続ける。 「また、平名は両父母より命名の申し出がされており、嵐丸(ランマル)と名付けられた。 少名彦那神としてのお勤め以外の際には、そう名乗られるように」 弁天宮女官長のシュミを例えとするなら、神としては弁財天だが、普段はシュミと呼ばれている。 山田太郎さんなら公的には山田さんと呼ばれるが、家族や親しい者には太郎さんと呼ばれるのと同じように、幼名アラシに由来して新たに嵐丸(ランマル)という平名が命名された。 一応今日は告知と少名彦那とアラシ改め嵐丸の引き合わせまでが必要だったようで、いろいろ多忙なコトシロは帰っていった。 片や少名彦那は…。 「何かいろいろ変わってるねぇ! オオナ兄者は公務の関係で、どうしても極秘でこちらの世に非公式のお忍びでちょくちょく帰ってくる用事が有るんだけどさ? 私は完全に常世に引き込もってるからさぁ? 今回はオオナ兄者の子を私の正一位で枝一等の宿り神として迎えて立てるっていう、私にとっても大きな出来事になるからね。 特別にこちらに出てきてみたら…。 何だか、嵐丸くんの周り…、面白そうな感じじゃないか」 少名彦那が、イタズラな笑顔を浮かべながら、ノノたちを見渡した。
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