神様たちの朝

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そんな仲良し三人は、カノエとサクヤの神気を魂に宿していたり加護で包まれている事からすると、神様ファミリーの三兄弟と言えなくもない。 神様候補生の野のワラシ。 子供のオバケ(元・野のワラシ)。 思いっきり生身の人間。 見事に三極に分かれたラインナップだ。 そして、とても仲が良い。 ノノは生きている間に甘いお菓子を食べた事の無い貧しい腹ペコな子供たちだったので、今でもいつも腹を空かせていて、特に甘いお菓子が大好物だ。 毎日毎食甘いお菓子でも、全く問題ない。 むしろ甘くないと涙ぐんでしまうくらいに甘党男子一直線だ。 人とは違って、栄養バランスとかあまり気にしなくて大丈夫なようで、サクヤ姫も主食は日本酒で他の物はほとんど口にしないという偏食ぶり。 と、言うか。偏食というより、食べずに飲んでばかりという…。もう、既に食生活とか呼べない…。 まぁ…。子供のノノにとっては毎食甘いお菓子を食べていても叱られないのだから、それはそれで幸せな二十年に一度の半月なのかも知れない。 「ホントにっ!?昨夜の良かった!?」 お菓子を夢中で食べているノノと色違いで同じデザインの水干姿の一平が途端に嬉しそうに千秋に訊ねる。 ノノの水干は神璽(シンジ)と言われる現象で現れているもので、要は野のワラシの七五三みたいなものだ。 神璽とは“神のしるし”という意味で、世界が彼を大和の神となる資質が有ると認めた、つまりノノはもうちょっとで神様という証である。 片や一平の水干は、ずっと神璽に憧れながらも神堕ちしてしまった彼の為に、サクヤ姫がノノの水干に細部まで似せてオートクチュールした高級特製レプリカだ。 この一平の水干にはいくつか特別な機能が仕込まれているのだが、それはまた後ほど。 「とっても幻想的だった…。狂い咲きの桜に蛍が舞い踊って…。満月も煌々と輝いて…。 それだけでも人の世ではまず見られない美しい光景なのにさ? カノエさまのエレキギターとノノくんの竜笛が奏でるクリスマスの讃美歌…。 そんな凄い舞台で、あのサクヤさまと一平くんが舞った神楽・母子瑞鳥の舞が…とっても幽玄なのに斬新で…。 新しい世界。でも、とっても調和してた。美しくって楽しい奇跡みたいな時間だったなぁ…。 デッサンしてて、まだまだもっと絵が上手くなりたいって思ったよ」 そして、やはり。ふんわり笑顔。
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