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「先ほど、少名彦那さまに診ていただきまして、これは嵐丸に少名彦那神の一位一等の宿り神として相応しい医神の才気が有るかどうか、試験をするのにちょうど良いということになりましたの。
それに、大和神族ロック界の帝王と呼ばれる大スターのカノエさまでございますわ?
お会い出来ると聞いて、ときめかない女神など居るものかしら?
それに、やはり異端の君って所がトドメとばかりに良いんじゃございませんこと?
女は、完璧な男より、何故かそういう男に惹かれてしまう時がございますもの」
ふふふ…、と艶やかな笑みを浮かべる遠野御前。
さすがは副帝神と呼ばれるオオクニが妾妃神に迎えただけの事は有る。
ただ彼女が微笑むだけで、場の空気が和み溶けてしまいそうだ。
病でやつれていながらこの艶やかさならば、健やかな時の麗しさといったら如何ばかりか…。
サクヤが豪華絢爛な鳳凰ならば、遠野御前は雪原の鶴のような清く気高い麗しさ。
サクヤの匂い立つような華麗な色気に対して、遠野御前は凛と涼やかな清楚な美貌。
ただ、どちらも子を持つ母であるからなのか、その微笑みは限りなく優しげで、温かい。
そのわずかなサクヤとの共通点もノノたちは見逃さず、遠野に親しみを感じるには充分だった。
「私の…医神としての才気を試す…と、仰有いますと…?」
母の言葉に、嵐丸が小首を傾げる。
だから遠野が、ユルリとした風情のまま告げる。
「医神の最高位たる少名彦那神の一位一等の宿り神となるならば、やはりそれに見合うだけの素養が必要ではなくて?
医神としての様々な知識はこれから少名彦那さまや他の医神の方々から授けていただくにしても、貴方自身の医神としての才気が伴わなかったら無意味でしょ?
実の母の私なら、失敗しても医療ミスとか訴えたりしないし。
少名彦那さまがおいでになる以上、最悪の事態にはならないわ?
ほら。貴方の医神としての素質を試験するには、今が何もかも好都合ではなくて?
合格すれば、貴方の父が少名彦那さまと黄泉の国で開いている“常世中央医学院”への入学も許可していただけるそうよ?」
「常世中央医学院…!?って…」
嵐丸が愕然とするのも仕方がない。
武神の名門子弟たちや特に武術に秀でた者しか入学できない“武の最高学府”がトゲが通う阿修羅士官学校ならば、常世中央医学院は大和神族に於いて“医の最高学府”である。
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