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「どういうこと?」
そう訊ねる千秋の隣では、ノノがワクワクでキラキラな瞳を輝かせながら一平に。
「一平くん!
なんか今日もカッコいいだの!」
たぶん、ノノは状況をよく理解していない。
とにかく一平が思案気に言う。
「ただ良い点数を取れば合格出来る学力考査は試験官にとっては楽なんだよね。
点数で線引き出来ちゃうから。
でも、受験や試験では学力考査の他にもう一つ用いられる様式が有る。
面接試験だよ。
面接官とちょっと話すだけ…なんて考えは通用しない。
面接試験を併用している場合、面接官が問題有りと査定した受験生は、学力考査でどんなに高い点数だろうが落とされる。
つまりその試験で本当に審査したいのは、学力より優先して、受験生の品格なんだ。
そして今回は一見、実技試験みたいだけど…。
どうも実態は面接試験に似てる気がするんだよね…。
面接試験一本で合否が決められるって事は…、化かし合いで誤魔化しきるか…でなきゃ嵐丸くんが自分をさらけ出してスクナさまにその品格を認めさせるしか合格出来ないんじゃない?
つまり、嵐丸くんの全てが審査されるんじゃない?学力考査の方がずっと楽だよね」
一平の考察に、千秋がやや青ざめて言い返す。
「そんな…!
嵐丸くんとあのスクナさまだよ!?
化かし合いなんて…無理に決まってるじゃないか!
スクナさまの方が、何だかいろいろ上級者っぽいし!」
だから一平が頷いて。
「だよねぇ~。
だから、限られた短い時間の中で、スクナさまは嵐丸くんの今までの生き方とか考え方とかさらけ出させるはずなんだ。
試験官としたら、最も高い査定能力を必要とされる。
逆に受験生の嵐丸くんにしても、勉強して良い点を取るだけの学力考査よりずっと難易度は高いね。
自己アピールとか、それこそ本当に本質がどれだけ医神に向いてるか…とか。いろいろ。
ギャンブルみたいだよね…。
それでも少しでも多く医神としての素養をアピール出来ないと落とされちゃうしなぁ…。
学力じゃないなら…スクナさまは医神に何を求めてるんだろう…?たぶん…それが合否を分けるんだよ…」
ニコニコのノノはボーッと一平の話を聞き流しているが、千秋は固唾を飲んだ。
「大和神族最高位の医神が求める医神としての最たる素養…。
なんか…。ますます心配になってきちゃったよ…」
そんな千秋に、一平が少し笑った。
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